第2話:Kevin's side 〜Yesterday accident〜
「ケビンー!どこ行くんだー?」
「ミルト…、ちょっと出かけて来る。」
「いい加減課題を仕上げないと知らんぞ?期限までもうそんなにないだろ?」
ミルトが心配そうに言う。
「分かってるよ…」
僕は、いい加減うんざりしたような口調でそう言い、手を振ってミルトと別れた。
学院に入って以来の付き合いなのでミルトとは長い付き合いになる。
「ミルト・F・キルフィルド」そこらの男より男前の性格をしている女性だと僕は思う。
そう…あんな言葉遣いでも女性なのだ。見た目も頑固な癖毛を短く切り揃えているし、胸の部分も普段はサラシを巻いているので、初めて見た人は高確率で男だと思ってしまう。
性格も基本的には竹を割ったようなさっぱりとした性格をしているので付き合いやすく男女を問わず友人は多い。
そんな友人の一人である僕は、なんだかんだとよく世話を焼かれている。
そうしてミルトに心配されながらも、僕はいつものように町外れにある丘へと向かう。
「ふぅ…」
丘の上に立つと一陣の風が通り過ぎる。
僕はその心地よさに身を任せて、そのまま横になって眠り始めた。
・
・
・
「……ろ!」
誰かが僕を起こそうと肩をゆすっている。
「……が…れ!」
そのゆすり方がどんどん激しくなってくるが僕は寝返りを打ってまだ眠り足りない事をアピールする。
ドカッ!
僕は突然腹部に激しい痛みを感じて慌てて飛び起きる。
「かはっ!けほっ、けほっ」
腹の上に何かが勢いよく振り下ろされたのであった。
「キュウ?キュキュ!」
そこには小さな狐のような生物とミルトの振り下ろされた正拳があった。
「ミルト…起こしに来てくれたのはありがたいけど、正拳突きはやめてくれないか」
僕はお腹をさすりながら立ち上がって少し怒ったような声でそう言う。
「起きないお前が悪い。もうすぐ門限だ。走るぞ」
見るとはぶっきらぼうにそう言ってパートナーであるセンカを肩に乗せる。
しかし僕はそれを無視して再び寝転がる。
「別に構わないよ…ディンゴに今日は挨拶してないし、今日はなんか星をもう少し眺めていたい気分なんだ」
「お前が構わなくても俺が構うんだ!」
ミルトは、むすっとした顔をしながら僕を無理やり立たせようとするが、ミルトの細腕には少し重荷であったようだ。
そのまま二人そろって草原の上に倒れこむ。
「キュッ!?」
センカは驚いてミルトの肩から飛び上がる。
僕はお腹あたりに倒れこんだミルトを見て笑みを浮かべながる。
「ははっ!ミルト…僕は、たまにはこういうのもいいと思うんだけどな」
ミルトは諦めてくれたのか、大きくため息をついて僕の隣に同じように寝転がる。
「まだ…気にしてるのか?ディンゴのこと…」
僕と同じように空を見上げながらミルトが訊ねる。
「気にしてないと言えば嘘になるよ。しばらくパートナーを選ぼうとは思わないしね」
僕がそう答えるとミルトは悲しそうな声で
「あれは…ケビン、お前の所為じゃない…」
とだけ言って黙り込む。
「分かってるさ。そんな事…、それでも自分が許せなくなることってあるでしょ?意味のない仮定で、その時の自分がもっと…とかさ……」
僕は腕を空に向けて突きだしてぎゅっと力強く握り締める。
「そうか…けどディンゴの犠牲を無駄にしてまでヤツの死を守るのか?大事なのはその犠牲を糧とした次の一歩じゃないのか?」
「ミルト…」
ミルトは少しかすれた声で続ける。
「別にパートナーを選べとかじゃない!とりあえずその腑抜けた顔をいつまでもディンゴの前に晒し続けるな。俺もディンゴも不愉快だ!」
「キュキュ!」
センカも「その通りだ!」とでも言うかのように鳴く。
………
しばらく僕は何も言う事が出来なかった。
知らない間にここまで心配をかけていたとは…。
「ははっ!センカにまで言われちゃったよ。…確かにそうだね……うん…ありがとうミルト。少しは吹っ切らないと……」
「そうだな…じゃあ、さっさと帰るぞ」
ミルトはぶっきらぼうにそう言って空を見上げたまま立ち上がる。
「泣いてるの?」
「泣いてなんかねぇよ!」
と言いつつもミルトの声は涙声だ。
「……そうだね。泣いてない、泣いてない」
僕はミルトの方を見ずにそう言って立ち上がる。
「お前な…」
ガサガサガサッ
近くの藪から物音がして、その優しい空気が一瞬にして凍る。
「狼か?」
ミルトは普段から背中に背負っている弓を藪に向けて構える。
「フレイムワインダー…」
ミルトが静かにその弓の名を告げると何もなかったところから炎の矢が現れる。
それを番えて次の動きを待つ。
一方僕も腰元の短剣を構えて、錬りこんだ魔力を流し込む。
すると紅の刀身が炎に包まれ、長さが一般的な長剣程になる。
「まだ使ってたんだな…それ」
「無駄口はいいから…来るよ!」
僕がそう叫んだと同時に森から黒い獣たちが一斉に襲い掛かってくる。
「伸びて、総てを薙ぎ払え!」
僕は剣にさらに魔力を流し込んで刀身の長さを自分の背丈の2倍以上にする。
「うおおおぉぉぉぉおおお!」
僕は巨大化した炎の剣ををそのまま横に薙ぎ払う。
黒い影の大半はそれで薙ぎ払えたが、それでも数匹はその攻撃を掻い潜り僕らの咽喉笛を喰い千切ろうと迫ってくる。
「ふっ!」
シュ!シュ!シュ!
その影一つ一つに紅の閃光が奔り、それぞれが対象の頭蓋を穿つ。
そうして、勝負は一瞬で決した。
「ケビンー!どこ行くんだー?」
「ミルト…、ちょっと出かけて来る。」
「いい加減課題を仕上げないと知らんぞ?期限までもうそんなにないだろ?」
ミルトが心配そうに言う。
「分かってるよ…」
僕は、いい加減うんざりしたような口調でそう言い、手を振ってミルトと別れた。
学院に入って以来の付き合いなのでミルトとは長い付き合いになる。
「ミルト・F・キルフィルド」そこらの男より男前の性格をしている女性だと僕は思う。
そう…あんな言葉遣いでも女性なのだ。見た目も頑固な癖毛を短く切り揃えているし、胸の部分も普段はサラシを巻いているので、初めて見た人は高確率で男だと思ってしまう。
性格も基本的には竹を割ったようなさっぱりとした性格をしているので付き合いやすく男女を問わず友人は多い。
そんな友人の一人である僕は、なんだかんだとよく世話を焼かれている。
そうしてミルトに心配されながらも、僕はいつものように町外れにある丘へと向かう。
「ふぅ…」
丘の上に立つと一陣の風が通り過ぎる。
僕はその心地よさに身を任せて、そのまま横になって眠り始めた。
・
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・
「……ろ!」
誰かが僕を起こそうと肩をゆすっている。
「……が…れ!」
そのゆすり方がどんどん激しくなってくるが僕は寝返りを打ってまだ眠り足りない事をアピールする。
ドカッ!
僕は突然腹部に激しい痛みを感じて慌てて飛び起きる。
「かはっ!けほっ、けほっ」
腹の上に何かが勢いよく振り下ろされたのであった。
「キュウ?キュキュ!」
そこには小さな狐のような生物とミルトの振り下ろされた正拳があった。
「ミルト…起こしに来てくれたのはありがたいけど、正拳突きはやめてくれないか」
僕はお腹をさすりながら立ち上がって少し怒ったような声でそう言う。
「起きないお前が悪い。もうすぐ門限だ。走るぞ」
見るとはぶっきらぼうにそう言ってパートナーであるセンカを肩に乗せる。
しかし僕はそれを無視して再び寝転がる。
「別に構わないよ…ディンゴに今日は挨拶してないし、今日はなんか星をもう少し眺めていたい気分なんだ」
「お前が構わなくても俺が構うんだ!」
ミルトは、むすっとした顔をしながら僕を無理やり立たせようとするが、ミルトの細腕には少し重荷であったようだ。
そのまま二人そろって草原の上に倒れこむ。
「キュッ!?」
センカは驚いてミルトの肩から飛び上がる。
僕はお腹あたりに倒れこんだミルトを見て笑みを浮かべながる。
「ははっ!ミルト…僕は、たまにはこういうのもいいと思うんだけどな」
ミルトは諦めてくれたのか、大きくため息をついて僕の隣に同じように寝転がる。
「まだ…気にしてるのか?ディンゴのこと…」
僕と同じように空を見上げながらミルトが訊ねる。
「気にしてないと言えば嘘になるよ。しばらくパートナーを選ぼうとは思わないしね」
僕がそう答えるとミルトは悲しそうな声で
「あれは…ケビン、お前の所為じゃない…」
とだけ言って黙り込む。
「分かってるさ。そんな事…、それでも自分が許せなくなることってあるでしょ?意味のない仮定で、その時の自分がもっと…とかさ……」
僕は腕を空に向けて突きだしてぎゅっと力強く握り締める。
「そうか…けどディンゴの犠牲を無駄にしてまでヤツの死を守るのか?大事なのはその犠牲を糧とした次の一歩じゃないのか?」
「ミルト…」
ミルトは少しかすれた声で続ける。
「別にパートナーを選べとかじゃない!とりあえずその腑抜けた顔をいつまでもディンゴの前に晒し続けるな。俺もディンゴも不愉快だ!」
「キュキュ!」
センカも「その通りだ!」とでも言うかのように鳴く。
………
しばらく僕は何も言う事が出来なかった。
知らない間にここまで心配をかけていたとは…。
「ははっ!センカにまで言われちゃったよ。…確かにそうだね……うん…ありがとうミルト。少しは吹っ切らないと……」
「そうだな…じゃあ、さっさと帰るぞ」
ミルトはぶっきらぼうにそう言って空を見上げたまま立ち上がる。
「泣いてるの?」
「泣いてなんかねぇよ!」
と言いつつもミルトの声は涙声だ。
「……そうだね。泣いてない、泣いてない」
僕はミルトの方を見ずにそう言って立ち上がる。
「お前な…」
ガサガサガサッ
近くの藪から物音がして、その優しい空気が一瞬にして凍る。
「狼か?」
ミルトは普段から背中に背負っている弓を藪に向けて構える。
「フレイムワインダー…」
ミルトが静かにその弓の名を告げると何もなかったところから炎の矢が現れる。
それを番えて次の動きを待つ。
一方僕も腰元の短剣を構えて、錬りこんだ魔力を流し込む。
すると紅の刀身が炎に包まれ、長さが一般的な長剣程になる。
「まだ使ってたんだな…それ」
「無駄口はいいから…来るよ!」
僕がそう叫んだと同時に森から黒い獣たちが一斉に襲い掛かってくる。
「伸びて、総てを薙ぎ払え!」
僕は剣にさらに魔力を流し込んで刀身の長さを自分の背丈の2倍以上にする。
「うおおおぉぉぉぉおおお!」
僕は巨大化した炎の剣ををそのまま横に薙ぎ払う。
黒い影の大半はそれで薙ぎ払えたが、それでも数匹はその攻撃を掻い潜り僕らの咽喉笛を喰い千切ろうと迫ってくる。
「ふっ!」
シュ!シュ!シュ!
その影一つ一つに紅の閃光が奔り、それぞれが対象の頭蓋を穿つ。
そうして、勝負は一瞬で決した。


